豆乳も酒も、慣れれば美味いけれど、慣れない内は微妙。

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ともかく、その事にジークは安心して、一息ついた。 そして、少女の顔を水に浸けないよう、身体を抱えながら、岸へと戻る。 湖の中に入ったので、当然のように衣服はビチャビチャに濡れてしまっていた。水を吸ったズボンを絞りつつ、ジークはまじまじとその少女を観察する。 最初に目に付いたのは、その少女の格好だった。今まで、ジークが見たこともない奇妙な服を着ていた。生地も、なんだか良く分からない。綿なのか麻なのかもよく分からなかった。正しく奇妙である。 そして、次に少女の顔へと視線を移す。 一言で表すなら、子供だ。 あどけない。気を失ってはいるので、目はつぶっている状態。なので、年齢を推測するのは難しい。12~13くらいだと思うが、それ以下だと言われても納得できてしまうくらい、とてもあどけない顔だちをしていた。 (睫毛長え……) ジークは、少女の顔に手を伸ばし、その白い頬をそっと触れる。指が肌に沈む、崩れないのが不思議な程に――柔らかく、弾力性に満ちていた。肌も、絹のようにキメ細かく、幼いながらも、美しい芸術品のような美しさを放っていた。 ――と、そこで手を止める。 (てゆうか、オレは一体何をやってんだ! そう言う趣味はねーだろ!) と自分に向かって、思う。 無意識ゆえに、自分で自分を恐ろしく感じていた。小さい頃の妹と重ねてしまっただけで、自分に少女趣味がないと信じたかった。 閑話休題。 (――そういや、空から落ちて来たよなコイツ。もしや天女……とかじゃねえよな?) 目の前にいる少女が、天女。 いや、流石にないだろ、とジークは速攻でその仮定を頭の中で切り捨てた。 (つか、天女だったとしても、なんでこんなガキなんだよ。もっとムチムチの色っぽいねーちゃん連れて来いっつの……) はぁ、とため息をつく。 しかし、このままにしておく訳には行かないので、少女を脇に抱える。 傍目から見れば、誘拐犯にも見える行為なのだが、生憎とジークは気付いていないし、それを言及するような人物もいなかった。
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