カツアゲって、響きだけ聞けばなんだか美味しそう。

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そんな自分達に向かって、このような正気とは思えない台詞を吐いた事に、四人は絶句した。  この乱入者は、自分の置かれた状況が分かっていないのか、それとも、相当腕に自信があるのか。この行動に、四人は戸惑う。 そこに、 「なにやってんだ、お前らァアアア!! 相手はたった一人だ! 殺せェええええッ!!」 意識が戻ったのか、先程蹴り飛ばされたリーダー格の男が、蹴られた頭を抑えつつ、檄(げき)を飛ばした。 その言葉を皮切りに、槍、ナイフ、銃、こん棒を持った男達が戦闘体勢に入る。 そして、槍、ナイフ、こん棒を持った男達が、咆哮と共に襲い掛かった。 「ふん……」 それでも、顔色ひとつ変えず、黒髪の乱入者の男はそう呟いた。 ――瞬間。 その場から、黒髪の男が消えた。 呆然としている襲い掛かった三人を残し、襲い掛かられた男が忽然と消えた。みなが呆然とする中、外れから見ていたリーダー格の男が叫ぶ。 「エレス! 来てんぞ、下!」 「は?」 エレス、と呼ばれた、ただひとり襲い掛からなかった、銃を装備した男はそう言葉を発し、下方に視線を向ける。 そこには、長い黒髪の男が自分へと迫っていた。地面の上ギリギリを滑空する燕の如く、体勢を低くして距離を詰めていた。三人の間を擦り抜けて、一番厄介な飛び道具をもったエレスを仕留める為に。 それに気付いて、銃口を向けても、既に遅い。黒髪の男は的確に、銃を持ったエレスの手目掛けて、掬い上げるように拳を放つ。ドゴッ! と、燕が獲物を捕らえて急上昇するように、下から上へとアッパーカットが炸裂し、あえなく銃は空高く宙を舞う。 そして、続けざまに、息をつく間も与えず、追撃。170もないと言うのに、黒髪の男の強烈な右のハイキックが、銃を持った長身の男のこめかみをえぐるように、叩き込まれ、横に昏倒する。 そして、宙を舞い、落ちてきた銃をパシッとキャッチし、『いいもん持ってるじゃねえか。この贅沢モンめ』とか言いつつ、銃を懐にしまった。
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