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「ねー、りゅーたろー?手くらいいいじゃん!」
「やだ!変態!」
「ほら!行くよ!」
高木が無理やり俺の手を握った。むりむりむり!熱い!ドキドキする!顔真っ赤だよ俺!
もー、まだまだ子供なんだから素直になればいいのにーなんて言いながら進んでいく高木。
俺もっと大人にならなきゃいけないの!高木にもっと近づかなきゃいけないの!
「も、離して!だいたい高木がいなくても一人で帰れるし!子供扱いしないで!」
高木の手を振り払った。
「…ふーん、わかった。じゃ、俺帰るわ。」
………え?高木…怒った?
みるみるうちに高木の背中が小さくなっていく。
「たか、…たかき…っ」
その背中は人ごみの中へ消えていった。一人が怖くて、高木がいないのが寂しくて…
高木…っ、やだ!やだやだやだ!離れていかないで!
「…はぁっ、はぁ……たか、き…ぃ!どこだよぉ…」
無我夢中になって高木を探した。でも見つかんなくって…とうとうしゃがみこむ俺。
どうすれば良かったのかな?子供のままでいれば良かった?素直になれば良かった?
「も、わかんないよ…」
高木じゃないとだめなの…っ
今更後悔したって遅いのに、涙がぽろぽろ溢れ出して…
「…っ…た、たかっ…きぃ…」
もうむりだって思ったんだ。でも…ふわっ…って高木の甘い香水の匂いがした。
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