序章

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薄暗い部屋の真ん中にガラスの棺。 俺はその前で何故か立ち尽くしていた。 その棺を覗くと青い薔薇に囲まれ白いドレスを着た女の人がいた。 ベールで鼻先まで隠していたため口元しか見ることができなかったが童話のお姫様のようなそんな美しさがその人にはあった。 もしかしたら俺はその人が生きているのか、はたまた死んでいるのかそれを確認したかったのかもしれない。無意識に触れようと手を伸ばしていた。 あともう少しで顔に手が届きそうになったその瞬間、血潮のように紅い唇をしたその人の口が動いた。 (あのひとをたすけて) 声は出ていなかった、だがそう呟いていた。 その直後ぐにゃりとした感覚が俺に襲い掛かり意識が突然途切れた。
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