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男は、自分の口の悪さをわかってはいない。
男は、いつも自分の考えを中心に話をする。
男は、自分が常識のある人間だとおもっている。
男は、世間が自分の意見をわかるものばかりだとおもっている。
男は、まわりの人間の苦笑いを感じていない。
まわりは、男の悪口をかげで言う。
まわりは、男のもの言いが、間違ってはいない気がする。
まわりは、男のもの言いが、きつすぎると感じる。
まわりは、男のもの言いを、最高だとおもう。
まわりは、男の常識をはねつける。
まわりは、男の常識を取り入れようとする。
宴会が終わる。
男は、家に帰る。一人暮らしにとっては、なかなかに広いマンションだ。
男は、今日も自分の意見を待ち望むパソコンの住人のために、ブログを更新する。内容は、宴会で吐いた毒だ。
男のブログは、なかなかに人気がある。ブログの常連は皆、彼の常識の虜なのだろう。
そうなるのは、まわりが、男のすべてを知らないからだろう。
男は、きょうも裸でパソコンに向かい、カフェオレよりも甘い、ブランデー入りのコーヒーを片手に、恋人の和馬を待っている。
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