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「麻雀探偵だと……」
私のつぶやきが取調室のなかに広がった。
いままでに聞いたことのない名前。怪しすぎる。
私は警察から目をそらした。
私たちのいる部屋は、たいした広さではなかった。テレビや映画で見るような取調室だった。ただ、少しだけ広く感じた。
広さの理由は、この部屋のなかに人間がふたりしかいないということだった。
この部屋にいるのは、警察と私だけだった。
「麻雀探偵ってゆうのはな……」警察が説明しようとした。
そのとき、よくわからない音が鳴った。
その音の正体は、警察の携帯電話の着信音だった。
警察は電話を操作して、それを耳にあてた。「やんやて。分かったんか!」
警察の表情は、なにかを理解した表情だった。
なにがあったのか。
私は警察のようすをながめていた。だが、なにもつかめなかった。「なにがあったんだ?」
「いろいろとあったんや」警察が私の手をつかんだ。「今から行くで」
「ちょっと待てよ」
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