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人影は、動かない。
こちらも、動かない…いや、動けなかった。
その場を沈黙が支配する。
一瞬の時が、長く感じられた。
『・・・ふぅ…』
どれくらい沈黙を続けただろう…
人影は、小さく溜め息を吐いた。
そして、ゆっくりとこちらを振り返る・・・。
その格好は、まさに異様としか言いようがなかった…。
人影は、こちらを見て、ニィっと、気味の悪い笑みを浮かべる。
気が付けば、走り出していた。
走る、走る、走る・・・走る走る走る走る走る走る走る走る走る走る走る走る走る走る走る走る…
怖い…怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い!!
血走った目は、完全に瞳孔が開いていた。
歪な笑みを浮かべた口は耳まで裂けそうだったし、まわりは血で真っ赤で顔が判らない程だった。
そして、その口は言っていた・・・
声こそ出ていなかったものの、確実に言っていた…。
『ツ ギ ハ、 キ ミ ダ』
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