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「……確かにそうだな。証拠も見せずにいきなり言われても、信じることはできないし、不審に思うものだろ。これならどうだ?」
やがて少女は、ユーリの言葉にため息をつきつつ、それを素直に認めた。認めた上で、それなら証拠を見せたらどうだと、目を閉じた。
そんな少女を見て、それのどこが証拠になるんだと言おうとした途端、少女が纏っていた黒いローブが床に落ちた。
それを見ればいきなり脱いだのかと、ユーリは本気で病院に連れていくべき頭の狂った人間かと驚いて目を逸らそうとしたが、そこに少女の姿はなく、代わりに少女の頭があった位置に、淡く光る球体が現れたのだ。
「……何これ?」
「気安く触ろうとするな。私だよ、私。さっきまでここにいた少女」
消えてしまった少女の代わりに現れた球体を見れば、一体何なんだろうと思いつつ、ユーリはそれに手を伸ばそうとすれば、いきなり頭の中に直接声が響いた。
驚いて今頭の中で響いた声の言うことが事実なのかと確認するように光る球体を見れば、頷くように上下に一回動いた。
「……マジかよ……」
いきなり家に不審者がいた状況より驚きが大きく、何も言えなくなってるユーリを見て、球体は笑っていた。
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