290人が本棚に入れています
本棚に追加
「……さっき少女の姿をしていたが、本当は人間の姿をしたら、顔に火傷痕のあるマフィアの女ボスとかじゃないよな?」
「んなわけねぇだろ。妖精界でマフィアなんてあるわけないし」
「……じゃあ、ホントは女じゃなく男で、厳つい顔した極道の頭?」
「失礼な、私は最初に出会った姿を見て分かる通り、女だ」
ユーリの言葉をことごとく否定していくコーダに、ユーリは信じられないというような表情を浮かべる。そんなユーリに、コーダは失礼な奴だと思うも、第三者から見ても、ユーリの気持ちは分からなくもない。
「ったく……別にそれはどうだっていいんだよ。重要なのはお前が勇者をやるか否かだ」
「そんなもの決まってる。さっきもやらないって──」
「ちなみに断った場合、妖精界が総力を挙げてお前に一生嫌がらせしてやる」
「お前らホントに妖精か?」
苛立った様子ながらもコーダが本題に戻せば、それを軽く流そうとするユーリだったが、それを遮るように言った言葉に、呆れたような表情を浮かべてため息をついた。
「んで、どうする?」
そんなユーリの言葉なんて綺麗に流してしまい、コーダは有無を言わせぬ口調で訊いてきた。
最初のコメントを投稿しよう!