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「そういえば、ふと思ったんだが……なんで賢者なんだ? 勇者じゃないから別にいいんだが……」
別に武道家とかでもいいんじゃないかと訊ねると、コーダは確かにどれでもよかったんだがなと前置きしてから説明を始める。
「勇者は近接戦闘も魔術も優れていて、例外なくお前もそうだから、どれでもいいと考えていたが……魔法を使って戦う職種の方が、後方支援は冴えなさそうで、勇者って怪しまれにくいと思わないか?」
そう言うコーダに、不満げにしながらも自分のことを考えてくれたんだなと、相手の優しさを感じて微笑むユーリに気付き、照れくさそうにしながらも言葉を続ける。
「だがそうなると、勇者は僧侶の使える回復魔法に、魔法使いの使える攻撃魔法も使える。それに、勇者しか使えない強力魔法だってある。正直に言えば、命の危険がある戦場で無意識に使わないとも言い切れず、どちらかにするのは難しいだろう」
「それで、どちらも使える賢者ってわけか……」
コーダの説明を受けて、それを理解したユーリが頷く。確かに、それならば気にせず魔法を使えるだろうから、問題ないだろう。
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