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「まあ、その分なるべく近接戦闘は手を抜かなくてはならなくなったが……後方支援タイプで通しているのだから、お前が前線に出ることもないだろうし、心配はいらないだろう」
そのコーダの言葉に、やはりよく考えてくれたんだなとユーリが笑みを浮かべると、そのユーリの考えが分かったように、コーダはそれを誤魔化すために話を続けた。
「まあ、お前の職種に関しては決まったとして……今は城に向かっているが、何故かの説明はまだだったな」
「そういえば、その辺はまだだったな……なんで城に向かっているんだ? やけに同じように城に向かっている人が多い気がするが……」
そのコーダの言葉に、ユーリもそういえばと疑問に思って、周りを軽く見回しながら訊ねる。
「これから勇者誕生の瞬間に立ち会うんだよ。といっても、本物の勇者はお前だからな。代理勇者といったところか」
これから行う儀式を見せて、公に代理勇者を本物の勇者だと認めさせるんだというコーダの説明に、ユーリはなるほどと思った。例え事実は違えど、周囲にそれが本当のことだと認めさせてしまえば、それが事実ということになる。
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