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「なるほどな……認めたくはないが自分が勇者だっていうのに、まったく違うやつが行う勇者の儀式を見るなんて、変な気分だな」
「お前の条件を呑んだ結果だ。ぐだぐだ言わずに、早く城に行くぞ」
コーダの説明に納得しつつ、僅かに違和感を感じているようなしかめっ面をしているユーリに、早く向かうようにコーダが言った。
周りを見ると、ほとんどの人が城へと向かっているようだ。これでは、その勇者の儀式とやらを眺めることはできなくなってしまうかもしれない。余計なことを考えている暇はないなと、ユーリは城に向かって進める足の動きを僅かに速めた。
「ちなみに、勇者の旅に同行するためには、俺はどうしたらいいんだ?」
「その辺はぬかりない。昨日国王の夢に入って、必ずや勇者の力になってくれるだろうって、賢者としてお前を紹介しておいた」
「おー、なんかそれっぽいな。……妖精ってなんでもありだよな」
ふと他にも疑問があるとユーリが訊ねると、コーダはその辺りも抜かりはないと答え、それにユーリは感心しつつも、突然夢の中に出てこられた側のことを考えると、びっくりするどころじゃないなと呟いた。
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