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この世に存在する全てのモノには、何かしら存在理由がある。理由があるからこそ存在しているのだから、当たり前なんじゃないかと言うヤツだっているだろう。
世の中なんていうのは、都合よくできている。理由のあるモノは存在し続けられる、ありがたいルールだ。
例えば治癒の魔法はあるが、それは生命力のあるモノでなければ通用しない。壊れた建物は、治癒の魔法では直せない。
こんな「ルール」があるからこそ、建築家などという職に就いている者が存在していられる。これは一つの例えだが、他にもこの例えに当てはめることができるものがある。
この世の中にあるものは、存在を保つ力が残っている間だけ、そんな「ルール」に必ず守られている。でも、その「ルール」に守られているモノの中にだって、例外がある。
それは、「勇者」という職業だ。魔王を倒すためだけに存在し、魔王を倒せば存在理由を失う。悪事を働く限り、魔王の存在理由が保てるというのに、不公平な話だ。
別に悪いことだとは言わない。しかし、そんな使い捨ての駒のような扱いを許していいのだろうか。
存在理由を果たした勇者はどうすればいいのか。それは、俺にも分からない──。
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