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「……許可とれば別にいいさ、まあ食わせてやってもいい。しかし、人様の食いモン勝手に食う奴を許せるかっていったら、許せるわけねぇんだわ……」
相当怒り心頭なのか、凛々しい眼を鋭くさせて少女を睨み付け、低い声で凄みつつ、胸ぐらを掴もうとしているのか、ユーリは荒々しい足取りで少女に歩み寄る。
その怒り心頭だということが容易に見てとれるユーリに対し、普通の少女ならば怖がったりするだろう。だが、その少女はゆっくりと立ち上がれば、自分に歩み寄ってくるユーリをまっすぐ見ていた。
その少女は見た目十代後半くらい。ユーリは十八歳だが、そんな自分より二、三歳年下くらいだろう。そんな少女の眼は幼さのある可愛らしいものだというのに、その奥には光がなく、呑み込んでしまいそうな深い闇があった。
そんな少女を見れば、ユーリの足は思わず止まってしまう。普通なら、そんな年頃の少女はそんな眼をすることはないだろう。
「……テメェ、今見た記憶をさっさと消せ。さもないと、テメェの命を消してやるぞ!」
可愛らしい外見をした少女が、その見た目からとても想像できない言葉を吐き出した。その声には、ユーリ以上の怒りが込められていた。
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