プロローグ

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「オギャア──」 少し離れた部屋から赤ん坊の泣き声が聞こえてくると、すぐさま部屋の扉がノックされる。 「元気なお嬢様がお生れになりました」 返事とほぼ同時に開いた扉から、皺一つない燕尾服を着込んだ若い男がお辞儀をしながら、部屋の中にいる若い男に開口一番に言う。 それをあまり聞かずに部屋にいた若い男は先ほどの赤ん坊の泣き声のした部屋に向かって駆け足で出て行く。 そこに残された燕尾服の男は、さして気にも止めず、部屋の扉を閉めて、来た方とは別の方へ向かって歩いて行く。
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