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「時間だ。始めたいと思う」
皇帝がそう言うと、開かれていた会議室の扉が、扉の外で待機していた兵士の手によって閉められる。
これで時間に間に合わなかった者は締め出したと言うつもりなのだろう。
「結界を張っても?」
「頼む」
皇帝の命令だとしても、煩い者はきちんと命令を聞かないからか、皇帝も私の結界を張る許可を取ると、即答で許可を出す。
「“タイムスクエア”」
貴族達の中にも時属性を持つ者はいたとしても、私よりも上の使い手はハルおば様以外には知らないから、解かれる恐れのない魔法を使う。
「…さて、魔王が目覚めたという話だが…」
「はい、――――」
昨日、学園に襲撃して来た魔王に関して、話せる限りは話した。そして、さっきまで見て来たウェスタリアの惨状と師匠についても話した。
「ふむ。魔王を倒せるのは『氷雪』しかいないという状態か…」
私の話を聞いたミーテッシャさんはそう言うと険しい顔をして考え込む。
「その神力と言うのは何らかの武器に宿すのは可能なんですか?」
「……」
『刀神』の問いに私はアルカに可能かどうか尋ねる。
その答えはマコトさんの刀に施したものよりは弱く、魔王に対して殆ど効果がないという答えが返って来た。
そのまま『刀神』に伝えると、「残念ですね」と少しばかり悔しそうな顔になる。
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