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目を閉じていたルーシアが目を開く。
だが、その瞳は普段の碧色ではなく、神の種と同じ虹色になっていた。
「神サマかい?」
「【ええ、そうです。ですが、貴女は私の事を嫌っているのではないのですか?】」
「ああ、嫌いだよ。でも、その体はルーシアのだ。傷つけたら許さないから」
「【それを言う為に話しかけて来たのですか】」
「それだけじゃない。アンタこの世界の神サマだよね。アンタがいなくなったらこの世界はどうなるんだ?」
「【予想はついているのでしょう。この世界はなくなります】」
「ますます魔王を倒さなきゃいけなくなったね。じゃないとルーシアの起きれる世界がなくなっちゃう」
「【それではそろそろ魔王退治と行きましょうか】」
そう言うとアルカは歩き出し、マコトはそれに着いて行く。
アルカの歩みは最初はゆっくりと、次第に普通の歩みになり、徐々に速さが増していった。
体を慣らしているかのようで、マコトもそのゆっくりとした動きには特に文句を言わなかった。
二人の間には会話らしい会話は無く、互いに無言のまま魔王の居る城のすぐそばにまで来た。
「【…おかしい】」
「何が?」
「【魔族の気配が微かにしか感じない。感じるのは魔王のそれのみ】」
「…どういう事?」
「こういう事だ」
久しぶりの会話に第三者の声が混じる。
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