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「そっちには行かせないよ」
マコトは余裕そうに魔王に言うが、息は切れていないのにも関わらず額から汗が流れていた。
いくら、魔族相手なら瞬く間に倒すことの出来るマコトであっても、魔王相手ではその足を止めるので精一杯だった。
「【…離れてください!】」
アルカの合図でマコトは魔王から離れ、アルカの側へと下がる。
その隙に魔王はアルカに近づこうとする。
「【動かないで…お兄ちゃん】」
アルカの魔王への呼びかけで、魔王はその動きをピタリと止めてしまう。
「【“…―・――”】」
アルカがルーシアの体を使って発動させた神法は神による言葉なのか、この世界で使われている言葉と違い、聞き取れない言葉であった。
だが、その言葉を聞いた魔王は目を見開き、全力で自身の身を守ろうと障壁を幾重にも重ねて張るも、魔王に向けて幾つもの光の槍が向かい突き刺さる。
魔王の張った障壁は全て無くなり、魔王自身にも幾つも幾つも光の槍が刺さり続ける。
それはアルカが神力を使い果たし、肩で息をしていて立っているのがやっとという状態になるまで続いた。
そんなアルカは側にいたマコトに支えられながらも、魔王の立っていた場所を睨みつける。
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