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どれだけアルカは魔王のいる場所を睨みつけていただろう。
神力を使い果たしフラフラだった体も、多少回復し今はマコトの助けもなく一人で立っていた。
もう魔王が動かないと思ったのか、アルカが気を抜いた瞬間、アルカの攻撃によりボロボロになって動かなくなっていた魔王の体がピクリと震える。
「【……そんな!?まさか…】」
アルカが呟くのと同時に魔王がゆっくりとその体を起こした。
「先代の神子の体は脆いな。危うく死ぬところだった」
魔王が立ち上がるのと同時にアルカはその場に座り込んでしまう。
「立って。座り込んでも相手を倒せないでしょ」
座り込んでしまったアルカを守るようにマコトは魔王の前に立ち塞がり、刀を構える。
「もう、気は済んだか?アルカ」
目の前に立ち塞がるマコトなぞ目に入らないと言わんばかりに、マコトを無視してアルカに話しかける魔王。
「【……ごめんなさい…ごめんなさい…ごめんなさい…】」
マコトは後ろからぶつぶつと聞こえてきた言葉にぎょっとしたように振り返る。
そこには俯いて何かに謝り続けるアルカの姿があった。
「【ごめんなさい】」
最後にアルカはマコトと目を合わせて謝るとスッと立ち上がる。
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