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「いや、特に意味はなかったんだけど…」
『そうなんだ。で、どうするの?行くの?行かないの?』
行けば私は本当に物語を見つけることが出来るんだろうか?
「行かなかったらどうなるの?」
『これを断るとこの本は消滅し、君は一生自分だけの物語を見つけられなくなる。一生…ね。』
彼は一生と言う言葉を強調した。
まるで、断ることは許さない…とでも言うように。
「…行く。私、行きたい。行って私の物語を見つけたい。」
何故だか分からないけれど、顔の見えない彼が笑ったような気がした。
『さあ、本に手を伸ばして?』
ゆっくりと本に手を伸ばす。
あと数センチで本に手が触れるというところで私の腕は本から出てきた白く骨張った手に引っ張られ、本の中へ引き込まれた。
「きゃあああ!?」
そして、私はそのまま意識を失った。
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