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声の主は森にあるどんな宝石よりも綺麗な容姿と瞳を持っていた。
漆黒の髪に輝く金色の瞳、長い手足に白く綺麗な鎖骨…
その姿は黒猫を連想させた。
「シオリ?ああ、この瞳はキャッツアイっていう宝石で出来てるんだよ。怖い?」
彼は少し寂しげな表情で笑いながら私に問いかける。
「…綺麗」
キャッツアイ…確か邪悪な者、悪意を持つ者から守ってくれる力を持つ石だ。
「とても、綺麗。」
私はもう一度彼に聞こえるように大きな声で言う。
「…やっぱりシオリは面白い。この瞳を見て怖がらなかった人なんて今まで居なかったのに。」
何故だろう
彼の瞳はとても綺麗なのに。
「シオリ、君だけの物語へようこそ。ずっと君を待っていた。」
彼はスッと私の前に立ったかと思うと、静かに私を抱き締めた。
「え?え?ええ?ちょ、ちょっと離して!」
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