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拾い上げてみるとその本が他の本と違うことに気づく。
「題名が…ない?」
少なくとも私が読んできた小説の中で題名がないものは初めてだった。
そのせいか、私は無性にその本の内容が気になった。
「今日はこれを読んでみよう。」
そう決めると誰もいない図書室の机に座る。
高鳴る鼓動を押さえながらゆっくりと黒い表紙をめくる。
「…?」
私が目にしたのは…何も書かれていない真っ白なページだった。
次のページをめくっても、その次のページをめくっても何もない真っ白なページが続くだけだ。
「…期待した私が馬鹿だった。」
そう言って本を閉じようとした、その時。
『やっと見つけてくれたんだね?』
突如、何処からか高いような、低いような、男のような、女のような不思議な声が静かな図書室に響いた。
「ッ!?」
慌てて後ろを振り返る。
しかし…誰もいない。
『何処を見ているんだい、シオリ。こっちだよ?』
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