序章-キャッツアイ-

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恐る恐る前を向く。 …そこには、白紙の小説が一冊。 「誰!?何処にいるの!?」 いたずらだと信じたかった。 …そんな小説のようなことが起こるはずがないのだと。 『嫌だなぁ。君の目の前にいるじゃないか。』 しかし、そんな願いはあっさりと裏切られる。 「そんなことがあるはずがない!これは夢…。そう、きっと夢なのよ!」 必死に自分を説得する。 だけど、その声は夢とは思えないほど大きく、綺麗に頭に響く。 『夢じゃないよ、シオリ。これは全て現実だ。』 「だって…そんな、本が喋るなんて。」 祟りなら勘弁してほしい。 一応本は大事に扱ってきたつもりだ。
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