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そんな思いとは裏腹に本は喋り続ける。
『シオリ、物語を、宝石を見つけに行こう。君だけの物語を。』
本は私がずっと探し求めていたことを口にした。
「今…何て?」
聞き間違い?
幻聴?
『シオリ、君だけの物語、君だけの宝石を見つけに行こう。』
本は確かにそう言った。
その言葉に嘘偽りは感じられなかった。
「私、望んでもいいの?私だけの物語を?」
震える声でその声に問う。
『おかしなことを言うね、シオリ。君だけの物語はずっと君を待ち望んでいたのに。』
私が物語を望んでいたように、物語も私を望んでいたの?
「…でも」
見知らぬ声の相手を信用してもいいのだろうか?
『心配しなくて大丈夫。君は…僕が守るから。』
貴方が一番怪しいです。
てゆーか、僕?
「貴方、男なの?」
『あはは、シオリ、君は本当に面白いね。性別なんて唯の個々の束縛にしかすぎない。それを聞いてどうするの?』
逆に質問されてしまった。
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