ワタシヲ、タタカイ二マキコムナ

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 スタ、と地面に2つ降り立つ音と同時に丁度目の前には、赤と白のチェックの柄のピエロに、ポニーテールの少女。 ここで、重要なのが2人?が降り立った位置だ。 普通漫画や小説ならば、少女の方が俺に近い所に降り立ち、声をかけてくるというのが一般的だろう。 逆に、その他の奴がこちらに降りてきて『THE END』なんていう状況になる漫画や小説があるなら知りたいものだ。 「ば、お前!逃げろ!」  ポニーテール少女が俺に向けて声を発する。 何故『逃げろ』なのかというと、現在の立ち位置が、俺、ピエロ、少女。 つまり、俺と少女でピエロを挟む形。 もっと簡単に言うと、先程の『THE END』コースの他の奴が近くに降り立ったパターンだ。  ピエロがチラリとこちらを向く。 真っ白の顔に目元だけ、ダイヤの形に赤く描かれていて。 左目の所には涙マーク。 靴も帽子も服も、よくトランプにあるジョーカーの格好……  はっとして、奴の頭を見ると案の定『ジョーカー』。 まさに、今目の前にいるピエロと同じ格好をした奴がトランプの中でお手玉をしている。 「いや、危ないのはお前だよ!」  俺はすぐさま、少女へとそう切り返す。 俺は最弱の3は3でも、スペードの3、ジョーカーだけには勝てるのだ。 よって、現在1番危ないのは、対峙しているポニーテール少女。 ピエロは俺の方へと笑みを軽く浮かべると、少女へと向き直る。 標的を確実に倒せる少女へと変えたらしい。 しかも、最悪な事にこいつ知能あるタイプの奴だよ。  普通の奴は、優先順位的に1番弱い奴が目に入ったらそいつを叩くようになっている。 例えば、5が戦っていて、近くに4の奴が居たら攻撃対象は4に移る。  そして、知能がある奴はそんな法則を無視する事ができる。 まぁ、『ジョーカー』だからね…… そう簡単には倒せないようになってるんだよ。 ていうか、強くなればなるほどこの法則を無視する確率が高くなるし。
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