ワタシヲ、タタカイ二マキコムナ

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「は!?何を言ってるだお前は! お前の方が私より弱いだろう?」  おお!随分と気が強そうな奴だが、お前は奴の強さが分からないのか? 何故プレーヤーの強さが分かって、奴の強さが分からないんだよ? あ、これって俺だけの特権だった。 「いや、こいつ『ジョーカー』だよ! 今のお前じゃ勝ち目ないぞ?」 「そうか!ならば、こいつを倒せば私の願いが叶うのか!」  彼女はそう言うと、手に持っていた剣に力を込める。 よく見れば、剣が赤く光りだしている。 オオ、ヤメテクダサイ! お前の攻撃は俺に効くんだよ! 『ジョーカー』の攻撃は効かないけれど…… それにそいつ、確かにボスだが、中ボスだし。 倒しても願い事は叶わないぞ? なんて心の中で呟きながらも、ここから1秒でも早く、離れるべく再び俺は走り出す。 ピエロの奴は空気を読んでくれたのか、ナイフでジャグリング?って言うんだっけか? あのお手玉みたいなことする奴。 間違ってる気がしてならないが、今の俺はそれ所ではなく、一目散に2人から離れるべく校門から外へと出る。 「妹を助けるんだ!!」  彼女はそう叫びながら、赤く燃え上がる剣を振り下ろす。 彼女の意思を組むように、放たれた炎は綺麗な鳥の形をしてピエロに襲い掛かる。 今回は運が良い! なんと言っても攻撃が来るに逃げてない。 そこまで思ったところで、ピエロの奴がジャグリングしていたナイフを1つ投げた。  炎で作り上げられた鳥とピエロの投げた小さなナイフ。 これは、勝敗は歴然だろ? 当然鳥が勝つと疑っていなかったのだが、現実は甘くなかったらしい。 ナイフと鳥がぶつかった時、小さなナイフが鳥の頭に当たり『消えた』。 「おいコラ! 色々と何か無視してるだろ!?」  俺はそう言いながら、逃げるのをやめて呆然と立ち尽くす彼女の方へと方向転換する。 ピエロは相変わらず、残ったナイフでジャグリングをしている。  おそらく最高の一撃をただの小さなナイフで相殺された事に、心が折れているのだろうが、よく考えてみるとRPGで中ボスでも何でも、『ボス』ってついたら状態異常や魔法耐性とか意味分からないのが強化されてて、結局肉弾戦になる。  その内雑魚にすら、魔法が効かなくなってくるのも、なんだか納得がいかない。 そんで結局、よく使うことになる魔法といえば味方のステータスをあげる魔法と回復魔法。
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