元々はあの時の俺が悪い

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 入学式の真っ最中、お決まりの校長先生のスピーチの最中にそれは起こった。 まるで俺の他以外は、石造になったんじゃね?と思う程瞬きすらしない状況。 「遊びに来たぞ?」 「やっぱり爺さんか」  俺の横の席にアロハシャツと短パン、そして少し浅黒い皮膚の色。 短く整えられた白髪に、長い白髭。 背はそんなに高くなく、少し猫背気味で今回は黒いサングラスまでかけている。 「ハワイ帰りか?」 「そうなんじゃ、ハワイという場所は中々面白かったぞ?」  俺は予想したこと口にすると、爺さんは笑みを浮かべ笑う。 そして手に持っているのは、トランプ。 ちなみにこの爺さんとは、現在2人大富豪成績1234勝0敗。 爺さんは良く分からないが、大富豪がこれでもかって言うぐらいに弱い。 「今日こそは勝つぞ? その為にハワイでトランプを仕入れてきてみたんじゃから」 「別に日本のトランプが悪いわけじゃないだろ? あんたの運が悪いんだよ」  俺はそう言って、苦笑いを浮かべる。 爺さんと大富豪すると絶対に勝つ。 いや、これまた面白いぐらいに手札に良いのがそろっちまうんだよ。 「いやきっとトランプが悪いんじゃ。 そうじゃなければ、1234連敗等する訳がない」 「もはや神がかり的連敗記録だよな」  爺さんは手馴れた手つきでトランプを切り始める。 俺はそんな爺さんに向けて、一応話を切り出す。 「そうそう、あの摩訶不思議世界の発生率が高くないか? 2日に1回は巻き込まれるんだが」 「ん?そうか? ゲームの敵出現率を元に設定しなおしたんだがの」 「いや、ほら俺最弱だろ? いくら、爺さんの作り出した奴を倒しても俺は経験地を貰えないんだから」  俺はそう言ってため息を吐き出すと、爺さんはクックックと笑い声を漏らした。
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