スぺードの３

元々はあの時の俺が悪い

　さて、ここで疑問に思うと予想されるのは、何故俺が最弱でレベルが固定されているのかだ。
実は、この世界を爺さんが作った時に、俺はこの世界に1番最初に足を踏み入れた人間。
正確には爺さんに連れてこられた訳だが……

よく販売されているゲームにも、初回特典があるように俺にも何か特別な能力をつけてやるって言うもんだから、スペードの3にしてもらったという訳。

　何故ここでジョーカーではなく、スペードの3をチョイスしたか。
それは、この世界に爺さんが仕掛けたローカルルールを元に作られた特殊の能力が関係している。

　ローカルルールとは、その地方ごとにある独自のルール。
まぁ、簡単に言うとカードに特殊なルールを持たせてる奴だ。
例えば、8を出すと場を流せる『8切り』やジャックを出すと一時的に革命状態にする事が可能な『イレブンバック』。
と多分数えたらキリが無いほど、様々なローカルルールがあるだろう。

そんな様々なローカルルールがある訳だが、俺の住んでる地方にあるローカルルールの中で、スペードの3を出せば必ずジョーカーに勝てるという、スペードの3を略して『スペ3』というルールがある。
ここで注意したいのは、ジョーカーだけ勝てるという所。
つまり、通常の強さは3。はい、最弱です。

でも、この当時の俺は思ってたんだよ。
スペードの3最強！！とか、意味が分からないことを……

この爺さんはそんな当時の俺の願いを聞き入れて、永久的に能力を持たせるべくスペードの3にレベルを固定したのだ。

え？もしや、特殊能力って一時的にしか授からないのか？　と思った方が居るだろうが、その通り。
例えば『8切り』なら、自分の強さが8の時にしか使えない特殊能力。
同じく『イレブンバック』なら。ジャックの時だけ。
レベルが上がってしまえば、その特殊能力は使えなくなる。