元々はあの時の俺が悪い

5/5
前へ
/28ページ
次へ
「何じゃ?あの世界でたった1人だけのスペードの3なんじゃぞ? 少しは胸を張れば良かろう?」 「おう!その辺の爺さんが作り出した奴には勝てないのに、どうやって胸を張れと?」  茶化してくる爺さんにそうツッコミを入れながら、笑みを浮かべる。 ウルトラスーパー大雑把に言えば、俺もこの摩訶不思議世界を考えた1人なのでかなり、他の奴らより優遇されてる。 ほら、強さが分かるとかね。 「『摩訶不思議世界のボスを倒せば可能な範囲内の願いを1つ叶えてやる』この願いを考えたのもお前さんじゃろ? 我と2人で作り上げた世界。 結構な人数が参加するようになったの」 「ああ、1度でも摩訶不思議世界で死ねば摩訶不思議世界の記憶が消去。 そして、それに関する文章なども消去。 ただの日常に戻っちまうだけのデスペナルティーだしな。 というか、爺さんが増やしているだけだろ?」 「ふぉっふぉっふぉ、そう固いことを言うな。 そなたの近くに誰か、プレイヤーが居なければつまらないじゃろ?」 「おいおい、俺はおもちゃ感覚か?」  俺は苦笑いを浮かべながら、爺さんから手渡されるトランプを手で扇状に広げながら眺める。 2人大富豪手札の枚数は当然27枚。 そして今回も当然、ジョーカーが2枚こちらに。 「くそう、何故じゃ!何故またジョーカーが手元に無いんじゃ!」 「どんまいだな、この勝負も俺が貰ったかな?」  俺はそうニヤニヤとした笑みを作りながら爺さんに視線を向ける。 そんな感じで、俺と爺さんの勝負が切って落とされたんだが…… まぁ手札から、相手の手札が分かっちまうのに、なんでこんなに面白いんだろうな?
/28ページ

最初のコメントを投稿しよう!

611人が本棚に入れています
本棚に追加