★親父の帰省★

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龍斗「…そっか~、フラれちゃったか~」 その長い沈黙を切り裂いたのは、親父だった。 龍斗「でも…それでも、来夢ちゃんと仲良くしてるのはなんでだい?普通なら、良かれ悪かれギクシャクするもんだよ?」 …確かに。 でも、告白の1つや2つで切れるような絆じゃない。 と、自分では言い聞かせていた。 修斗「…失敗したからって、友達としての関係が壊れるのが嫌だったから。」 これが、俺の正直な答え。 龍斗「…そう。嫌か…確かにそうだよね。こりゃ、別の意味で"諦めが肝心"が通ってるみたいだ。」 出た、俺のモットーでもある"諦めが肝心。" 親父が何故こんな言葉を使うようになったのか… それは、どうしても治らない不治の病を持つ人に直面した時、身内の人を宥めながら… "時には、何事も諦めが肝心なのです。" と言う、聞き方によってはとても残酷に聞こえるこの言葉から。 俺なら発狂するかも知れないが、不思議な事に、親父を責める人は今までいないと言う。 みなみ「でも…双方、納得してるみたいですよ?なら、結果良かったんじゃないですか?」 納得。 そう、納得するのだ。 皆、現実を受け止めた結果がそれなのかも知れない。 龍斗「そう…だね。うん、修斗、これだけは心に決めてくれないかい?」 修斗「ん?なんだ?」 急に親父が、朗らかな物言いながら真剣な顔つきになった。 龍斗「何があっても、来夢ちゃんを守ってあげてよ。それが出来るのは、修斗だけなんだから。」 修斗「親父…あぁ。」 龍斗「よろしい。」 俺の返事を聞いて安心したのか、再び細目でぽわんとした顔に戻った。 …てか、親父に言われる前から、既に決めてたっつーの。
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