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-7年前-
「うっ…ふえぇん…」
夕焼けに映える茶色の髪をなびかせ、少女─香坂 来夢[コウサカ ライム]は涙をこぼしていた。
「泣かないでよぉ…僕も泣きたくなるじゃない…」
幼馴染みが泣いてる姿に、当時小学生だった俺─晴間 修斗[ハルマ シュウト]はもらい泣きをしてしまう。
この時…そうだ、来夢が引っ越すってんでお別れの挨拶をしてたんだ…
修斗「僕らはまた逢えるよ?同じ日本にいるんだもん。絶対逢えるよ!」
根拠も無いのに"絶対"と言ってしまう…
昔からの悪い癖だ。
来夢「ぐすっ…修斗ぉ…なら、約束してくれる?」
約束…か…
絶対と一緒で、苦手だな…この言葉。
修斗「うん!約束!そうだ、指切りしようよ!小指出して?」
来夢「う…うん…」
そして、おずおずと出す来夢の小指に、さっと自分の指を絡める。
思えば、これで初めて来夢の手に触れたんだったな…
修斗「ゆーびきーりげーんまーん♪」
来夢「うっそつーいたーら、はーりせーんぼーんのーます♪」
修斗・来夢「ゆーび切った!」
歌が終わると同時に離した指には、若干の寂しげが伝わった。
修斗「…じゃあね、来夢…」
来夢「うん…じゃあね、修斗…」
着ぐるみの挨拶みたいに手をグーパーして、絶対と言ったクセに永遠の別れを悟った。
引っ越し業者の運搬トラックは、俺と来夢の思い出を乗せて走り去っていった…
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