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修斗「んぅ…」
─朝だ。春の陽気な陽射しが体に突き刺さる。
修斗「……………」
眠い目を軽く擦って、窓の外を眺める。
二羽の鳥が翔んでいった。
修斗「何で今更…あいつが出てきたんだろう…」
あれから7年。
俺は高校生になった。
昔ながらのアホ毛は、小学生の頃から未だ健在。
修斗「…まぁいいや。さて、着替えるかな。」
深く考えるのは好きじゃないし。
俺のキャラじゃないもん。
俺は壁のハンガーにかかったカッターシャツと冬用スラックスをせっせと着用する。
学校はまだ春服だから、学校指定の学ランにも袖を通す。
重いからあまり好きじゃない。
ちなみに女子は緑のブレザーに赤とチェック柄のスカート。
修斗「顔洗うか…」
俺は部屋から出て、2階から洗面所がある1階へ降りる。
冷たいフローリングの冷気が、靴下を通り越して足に刺さって寒い。
これでも5月だ。
キュッ…
修斗「…つめて…」
捻った蛇口から出る水までこれまた冷たい。
でも、清潔のためなんで。
修斗「ぷはっ…」
顔を水洗いした後、タオルで顔を拭くと鼻が赤くなった。
ちょっと間抜けに見え、俺はつい含み笑いをしてしまう。
修斗「はよー、母さん。」
俺は洗面所からリビングに行き、カウンターキッチンで料理をしていた母さんに毎度の挨拶をする。
「あら、おはようございます修斗さん。良い天気ですねぇ。」
このおっとり口調の女性が、俺の母さんである晴間 みなみ。
昔は雑誌で読者モデルをしていて、それなりに人気だったらしい。
だけど、交際相手…俺の親父との密会デートがスキャンダルとなり、既に俺を身籠っていた母さんは芸能界から引退した。
今もファンは多い。これでも33(御年34)歳。
みなみ「あら…ところで、急いで出かけなくて良いのですか?」
修斗「は?」
みなみ「だって、もう8時ですよ?早く行かないと、遅刻しちゃうのでは…?」
何か違和感を感じ、携帯で時間を確認する。
現在時刻、AM7:06。
修斗「母さん…昨日言ったじゃん。時計、1時間ズレてるぜって…」
つか、何で1時間もズレんだ…
みなみ「あらあら…てっきり、これが本当の時間なのかと。直すの、忘れてました…」
おっとりだけならまだしも、天然まで入ってるからなぁ…
もう慣れたけど。
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