君のいた夏

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人生とは数々の運命の選択を迫られ、時には自らつかみとり、時にはなるように流れまかせに…。 そんなこんなで誰もが大人になり、結婚して子供を産んで、その子供がまた同じ運命の選択する繰り返しなのだ。 そんな運命の選択を初めて真剣に考えたのは小学4年の夏休みだったはずだ。 まだその頃は「俺」ではなく「僕」だった頃の話だ。 僕は父の職場の社員旅行に同伴することになり、お盆前の海に行く事になった。 朝六時に起きた僕らは、車で四時間以上かけて千葉の海にようやく辿りついた。 初めて浴びる夏の潮風の塩くさい香りに少し酔いながら、僕は父に連れられ先に民宿に来ていた職場の面々に挨拶をして回った。 そして紹介中、同年代の男の子ゲン君とすぐに仲良くなった。 僕らは昼の日差しの中、民宿から海に向かって路地を走っていった。 ザーン!という波と、人のざわめき…。白い波が青い海を滑るように浜辺に向かっている。 海だ! 僕の心は暑ささえ忘れて浜辺を走りだしていた。 以前家に遊びに来ていたおじさんと挨拶をすると、僕は冒頭で述べた重要な「選択」を、頭が焼き付くまでフル回転させる事になるのだった。
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