立身出世

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立身出世

小学五年の僕は何をやっても中途半端な人生だったが、唯一中途半端ながらにも続いたのがボーイスカウトだった。 ボーイスカウトとはキリスト信教にて世間に善意を施す少年ボランティアとされていたが、僕のいた部隊所沢第一団三隊一組は違った。 今と違い総勢100名を超える集団で小学生から中学生くらいまでが存在していた。 僕がカブスカウトというボーイスカウトの下のクラスの組長に選ばれたところからジェットコースターのように隊員達は巻き込まれていくのだった。 普段は隊ごとにまとまってミーティングを行い、各組がそれに合わせた事を考えて実行していくのだ。 クリアすると矢章という制服に縫いつける勲章が貰え、僕は過去最高を記録するほど、矢章を授与されていた。…しかし…それはあくまでも親や父兄を安心させるための一面。 学校でも目立たず、消極的に物事をこなすタイプであったが、野望があったのだ。 小学生のクセに本気で、年上の先輩を含むボーイスカウト全員の頂点に立って独裁主義帝国を作ろうとしていたのだ。
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