弱者の国

プロローグ

わたしは世界を旅してきた。

それはそれは様々な国があったものだ。

緑がたくさんある国。
吹き抜ける風と涼しい香り。

海に囲まれた国。
潮の優しさと波のささやき。

治安の良い国、悪い国。
それもその国々の特色。

でもね、坊や。

世界にはもっと変わった国もあった。

いや、本当はどの国にだって、そうなる可能性は秘められているんだろう。

その国は世界の裏側だ。
その国は人間の裏側だ。

世界はコイン。
人間はコイン。

どこにだって、誰にだって、表があれば裏がある。

そうだね。

じゃあ、始めようか。

わたしの旅した国の話を。