最強の武器

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いやはや、今日はなんともついている。 宝石に反物。 これらは旅人であるわたしには必要のない物だが、然るべき所に持っていけば、当面の費用になるだろう。 非常に高ぶった気分で歩みを進める。 すると。 「ここはまたずいぶんと……」 栄える所あれば枯れる所あり。 富める者あれば貧しき者あり。 見るからに廃れた街並み。 ピラミッドの底辺。 「いったいそこで何をしている……」 またか、と思いつつ振り返った。 そこには薄汚れた服を着た、ボサボサ髪の男がいた。 「そこで何をしている……」 男は、宝石と反物、そしてわたしの顔を順番に見て、恨みがましい表情になった。 だが、わたしはただ歩いていただけだ。 そう答えた。 「お前は旅の者か?」 「ええ。ひとり、ただ流れています」 「俺を見てどう思う?」 「………………」 正直に答えられずにいると、男はふっと自嘲の笑みを浮かべた。 「いいんだ。気にしないでくれ」 「何かあったのですか? ここに来るまで、わたしはこの国の上流階級の人たちに出会いましたが、皆あなたと同じようなことを言いました」 「それはそうだ。なんせこの国には弱者しかいないからな。自分の評価を気にしてしまうんだ」 「弱者……?」 今わたしの目の前にいる男は、見るからにこの国での弱者だろう。 しかし、先に出会った二人さえ、弱者だとでも言うのか。
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