第一章

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あの日の彼は そう言って 泣くことも出来ずに 笑っていた。 憎むことも、恨むことも 何も出来ずに。 傍らに置いた バスケットボールを 目を細めて抱いていた。 「あ、なあ ソラとコウキ、一緒に 帰るんだろ?」 「ん?うん」 「じゃーさ 俺も一緒にいい?」 「あっ、ツバサくんが行くなら 俺も一緒に」 なんだよ、結局みんなでかよ いーじゃんっ、楽しいし 冬の余韻が残る校庭。 揺れる木々が 春を報せるみたいだった。 .
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