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あの日の彼は
そう言って
泣くことも出来ずに
笑っていた。
憎むことも、恨むことも
何も出来ずに。
傍らに置いた
バスケットボールを
目を細めて抱いていた。
「あ、なあ
ソラとコウキ、一緒に
帰るんだろ?」
「ん?うん」
「じゃーさ
俺も一緒にいい?」
「あっ、ツバサくんが行くなら
俺も一緒に」
なんだよ、結局みんなでかよ
いーじゃんっ、楽しいし
冬の余韻が残る校庭。
揺れる木々が
春を報せるみたいだった。
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