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呆れる男子生徒の隣を通った時、男子生徒はまた口を開く。
「おい智和。知らないうちに変なことに巻き込まれてないか?」
「そんなのいつものことだ」
「だけど、今回は一つ間違えば厄介事になるぞ。わかってるだろうな?」
「わかってる」
「お前に関してないと思うが……何かあったら連絡しろ。長谷川先生が直々だったら尚良い」
「覚えとく」
素っ気なく答えた智和は部屋を出る。
そこには千夏と、順番待ちをしていたエリクがいた。
口元だけ緩ませて笑いかけるが、それが不気味さを漂わせて何か危険なものを感じさせている。智和は反応も示さず横を通り過ぎた。
「……どうも苦手だ」
どんな諜報員でも嫌なものだが、エリクに関しては特にその気持ちが強かった――ただし諜報員と接触したことはない――。
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