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「……食べたいよ~」
駄々を捏ね始めた。これでは面倒になりそうだと思い、結局折れることにした。
「……わかった。これ終わったら琴美さんに声かけて行く」
「やった~!」
呆れる智和を尻目に瑠奈は、物欲しそうな目で懇願していた表情を一変させ、プレゼントを貰ったかのようにはしゃぐ。
射撃訓練を再開しようとイヤーマフに触れた時、ズボンのポケットに入れていた携帯電話に着信がきた。
画面には『長谷川浩美』と電話番号が表示されている。
通話ボタンを押し、携帯電話を耳にあてながらシューティングレンジから離れる。少しでも聞きやすくする策だが、銃声が響くこの建物では気休めにもならない。
「もしもし」
『今は射撃場か?』
「屋内第二射撃場に。何か用か?」
『任務だ。瑠奈もいるか?』
「ああ。内容は?」
『制圧任務。詳しい内容は後で話す。すぐに第一車庫に来い』
「了解」
電話が気になってずっと見ていた瑠奈に、電源ボタンを押して携帯電話をポケットに片付けた智和は少し笑って見せた。
「長谷川から任務の呼び出しだ」
「え~……」
「残念。ストロベリーサンデーはお預けだな。すぐ行くぞ」
「は~い……」
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