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二人は同じケースを持っていた。黒くて少し丸みを帯びているケースは決して大きいとは言えず、また小さいとも言えない。
ラベルが貼られていないケースを智和は右手で持ち、瑠奈に至っては学生鞄のように後ろへ回して両手で持っている。
その中身は彼らだけでなく、ここIMIに属する全ての学生に必要な『ある物』が入っていることは言うまでもない。
「……ん」
その『ある物』を使う為に施設へと向かっている最中、見慣れない人物がIMI敷地の出入口にいることに智和は気付いた。
足を止めてどんな人物か確認しようとするが、ここから出入口まで離れていて顔を見ることはできなかったが、性別はなんとか判別できる。IMI指定の学生服を着ており、栗色の長髪と穿いているスカートが風になびいていたおかげで女子生徒だと判別できた。
「どうしたの~?」
瑠奈も智和の視線を追って女子生徒を見つけた。
「綺麗な髪してる子だね~」
「見覚えあるか?」
「う~ん……顔がよく見えないからわかんないけど多分見たことないよ~。あんなサラサラで長い髪なんてそんなにいないし~、転入生とかじゃないかな~?」
「お前も長いがな」
「たまに髪型変えるのがマイブームで~す」
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