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書類に書かれている内容を見ずに――いや、何度も書類に書き込んでいるので見なくとも内容がわかってしまうのだ。だから注意事項など読むだけ無駄。
一番下の欄には名前、学年、学科の他にも『使用銃器』と記された物騒なものもあるが、気にもせず書き込み続ける。
「だーかーらー。勝手に書くなと何度言ったらわかる」
戻ってきた男性は透明なケースを二つ重ね、更にイヤーマフ二つを両手に持っていた。
「手間が省けるだろ」
「係員の許可なしに書類を出すな。書くな。お前達で慣れたからいいが、他人がやったらすぐ教員に通報だぞ。ほら学生証出せ」
書類と同時に学生証を提出する。
受け取った男性は呆れながらも置いてあった判子を朱肉に押し付け、『係員』と記されている欄に判を押した。そこには『確認』と押されている。
「時間は三十分。延長や弾なくなったら言え。三番レンジと四番レンジ」
「どうも」
学生証と一緒にイヤーマフとケースを渡した男性はさっさと新聞を広げる。智和と瑠奈はケースとイヤーマフを持って、すぐ横にある鉄製の大きな扉を開けた。
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