Ⅰ―Ⅰ 烏と少女

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 直後に響く銃声。  火薬の匂いと立ち込める硝煙。  連続する発砲音が建物内で反響し、耳から入り体の中が痺れる感覚を覚える。  この建物はシューティングレンジだ。既に何人もの生徒が拳銃を握り、何十メートルも先に設置されているターゲットに銃口を向けて引き金を引いている。  一番レンジは扉から近い位置にあり、数字が上がるごとに離れていき奥へと進む。各レンジは左右に薄い壁があり、隣のレンジとは干渉できない。  指定された三番レンジに智和、四番レンジに瑠奈が立つ。  二人が持っていたケースの正体はガンケース。中身は勿論のことながら愛用している拳銃。智和は諸事情によって借り物だ。  智和はベレッタM92FSを。瑠奈はグロック17を取り出す。  洗練されたデザインのベレッタは美しいと称されてドラマや映画などでもよく扱われる。グロックは高分子ポリマーが使用されており、開発当初は外見が玩具のようだと軍関係が嫌っていたものの、今では人気者の代物だ。  一つのケースにはマガジンが十本。ベレッタとグロック用で分けられていた。
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