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「こんな真っ昼間からどこに行くんだよ…」
時刻はAM11時
何が悲しくてまだ遊び盛りの若い俺は
仕事が休みの日に
しかも真っ昼間に実の兄と2人きりで出掛けなきゃならんのだ…
「いいとこ♪…それと今日お前に少し頼みがあるんだよねェ…」
運転しながら真面目な顔でそう言ってくる兄。
普段からあまり真面目な顔なんてしないから
ヘタレな俺は怖かったりする。
「…なに」
兄はチラッとこちらを見て
「いやー…その時がきたらまた話すよ」
と、意味深な発言をした。
「はぁ?今言えないの?」
気になってしまう。
悔しいが何なのか気になってイライラしてしまう。
「まだヒミツだって♪…それと沙弥には絶対に言わないって誓ってくれ」
今度は少し脅しをかけた声で言ってきた。
「…なんで?」
その質問には答えなかった。
「俺と沙弥結婚するの早かったじゃん?今年で…結婚何年目だっけ…」
「5年目」
なんで自分の結婚した年数わかんねーんだよ。
「おぉそっか。お前よく覚えてるな~女かって」
そう言って笑う浩司。たしかに…沙希にも言われたことがある。
「女心がわかるだけだよ」
「そっか。じゃあ俺が口止めしなくてもお前は沙弥になにも言わないな。」
「なんで?」
そんな会話をしていると
兄の返答を聞く前にどうやら目的地についてしまったみたいだ。
「さ、ついた!!おりろよ」
車から降りると
近所から少し離れたファミレスにいた。
「会わせたい人がいんだよ。話しはそれから」
勿体ぶりながら兄はファミレスの中に歩いていく。
会わせたい人?
不思議に思いながら俺も兄のあとをおう。
「お待たせ」
待ち合わせしていたみたいで
店内に入ると店員が話しかけてくるより先にある席に直行した。
「大丈夫だよ」
そこに座っていたのは
俺と同じくらいの歳の女だった。
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