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「レイ……」
翔太はその頃、レイを抱きしめていた。
怖がっている翔太を起こすのは、レイの危機。
「翔太……」
「やっぱ、俺、お前のこと……」
より強く確信した。
どんな恐怖も、レイを失う恐怖に比べればなんでもない。
レイの元へ、何の迷いもなくライソクで駆けて、かばった、それが何よりの証拠だ。
だから、断言する。
「好きだ」
「長かったね」
リョネルが迫ったあの瞬間、翔太はレイとリョネルとの間に走りこむと、背中側に藍と青のヘルメット鎧を二重に張って、レイを抱きしめた。
ダメージを一身に受けつつ、その場から飛ばされると背中から民家に突入。
五軒目の壁でようやく止まり、うなだれているところだ。
「助けてくれて、ありがとう。それから……好きって言ってくれてありがとう」
「帰ったら、って言ってたんだけどな……もう、帰れるかどうか分からないし」
「そうだね。千紗……どうなったかな」
「だから、後悔はしないように、な。レイ……」
「うん。後はもう、死ぬまで生きよう。死ぬ時は……一緒」
「ああ」
二人は立ち上がる。
翔太の背中は血まみれだ。
深い傷もいくつもある。
だが、もう、翔太も怖がらない。
何も怖くない。
二人は手をつなぎ、七色の光に包まれた。
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