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龍一が、リョネルに迫る。
発動中のダークボディは、全身どこでも自由に“拒絶”を使えるもので、空間拒絶による移動も存在拒絶による攻撃もいつでも自在に可能。
要は、触ってしまえばそれで終わりという代物だ。
ただ、ムトウのような炎を受けつけない体表や、リョネルのように質量的、エネルギー的密度の高い肉体には時間がかかる。
触れれば終わりとはいかない。
そこに、副作用の問題がある。
これだけ強力な術では、エネルギーコストかその他の面で問題が生じるのは必定。
ダークボディの場合、戦闘後の激痛をともなう戦闘不能だ。
強過ぎる炎が術師を内側から蝕む。
この副作用のため、術自体に限界が存在する。
ということで、リョネル相手に短期決戦を考えることになるわけだが。
「ちくしょ……ふらふらと! 避けんな!」
特別製の槍を使った重力も活用しつつ、リョネルはまともにぶつかることを避けていた。
「嫌ですよ。私も今弱っていますのでね、力比べをする元気はないんです。強い術にはこうするのが一番の省エネです。どうせ」
「……?」
「じき限界が来るでしょう」
「……お見通しかよ」
「私も強力な術を使ってますから。まあ限界はまだまだ先ですが、無謀な君のように“限界拒絶”なんて命を削るような……というか死ぬのかな? そんな真似はできませんからね」
笑い、また、かわす。
死ぬ、という指摘は正しい。
前回限界拒絶を使った時は生き残ったが、死ぬだろうと推測していたし、龍一はいまだに生き残った理由が分からない。
分からない以上、その理由が今回も適用されるかも不明。
だから今回、死ぬことも仕方のないことと覚悟した上で使っている。
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