逆風満帆

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レイがいなくなった戦場で、翔太はリョネルへ最後の攻撃を加える。 力の出し惜しみなどない。 レイが顔面を潰したおかげでリョネルの知覚力は著しく低下、さらに翔太の傷つけた脚も立つことをさせないほどになっている。 そこへ、鎧の色をとりどりに変化させて翔太の攻撃が続いた。 赤、腹を斬り。 黄、胸を貫き。 青、腕を曲げ。 藍、息を止め。 紫、傷を広げ。 緑、力を溜め。 橙、目を惑わす。 歪んだ視界に見えた幻覚に、出した腕は空振り。 やぶれかぶれである。 リョネルに残された選択肢は諦めることと、 「千手の……」 「今倒す!」 あと一つ、 「紫閃!」 闇雲。 解放した“強力”に任せて、リョネルは一本の腕を振り回した。 空振り。 そしてなんと、勢いの有りすぎる腕が千切れ飛んだ。 「んなっ……」 「千手の紫閃!」 次は、上から下へ。 翔太には当たらずも地面にぶつかった拳は、凄まじいパワーを伝え、 地面が爆発した。 破壊は、衝撃は、周囲に拡大して、今いる民家を全壊させる。 それに止まらず近くの家々を潰してやっと、衝撃は消えた。 当たれば即死。 (あの時も……) リョネルはふと、昔を思い出していた。
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