水晶の中のキミ。

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……大丈夫。大丈夫だから。   キミは いつもそう言ってくれる。 ぼくが不安な時 ぼくが辛い時。   でもキミはいつも水晶の中にいて 眠るように安らかな顔をしてる。   キミはだれ?   キミは答えない。   ぼくは、なんで生きてるの?   「それには答えられない。人それぞれだから」   誰かの声。 違う。 僕は。 怖い 怖いよ。   ……大丈夫。大丈夫だから。   キミが、励ましてくれる。   「あなたは、あなたが思うままに生きなさい」   ――誰の声? 思い出せない。 思い出したくない。   嫌だ。 嫌だよ。   ……大丈夫。大丈夫だから。   どうしてキミは何も言ってくれないの? キミはそこから出てこないの?   ねぇ 出てきてよ 僕は さみしいよ……   青い 幻想的な灯りに包まれた部屋。 たくさんの花の真ん中。 水晶に包まれたキミがいる。 僕は、それを見てるだけなんだ。   ねぇ、そこから出てきてよ。 お願い。   ……ほんとに、いいの?  
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