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階段を駆け上る。
母親はほとんど無視。
止めなければ。
止めなければ。
乱暴にドアを開ける。
「芽衣!!」
目に飛込んできたのは、赤。
「どうしたの?」
笑ってる。
右手に刃を持ち、左手を傷つけて。
腕を、足を。
全身を、傷つけて。
流れ落ちる血を眺め、芽衣は、笑っている。
「どうして!?」
芽衣は、答えない。
答えないで、話す。
「綺麗でしょう?」
「答えたくない」
目の前の少女は、自分の血を舐めて、妖しく微笑む。
「こんなに綺麗なのに……」
「約束が、違う……」
「約束?私、約束なんてしたかしら?」
「……お前っ!!」
「ふふふ……貴方、また私の時間を邪魔するの?それなら……」
芽衣は、手近にあったナイフを握る。
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