第二章 過去

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そこには目の前で止まっている爪があった。 そして亘に聞こえた声は知っている人物の声だった。 龍牙 「一之瀬さんにしては勉強不足ですね。カイザーは弱らした後ある一点を貫けば即死するんですよ」 龍牙は剣をカイザーの背中に突き立てていた。 亘 「しかし、ギルドでは勝てないと言っていた。それに背中なら何度か」 龍牙 「たった一カ所を攻撃できたんですか?ギルドが知らないのも当然。俺が調べたんですからまだ誰も知りません」 亘 「調べた?」 龍牙 「様々なモンスターの中からカイザーに似たモンスターの弱点や特徴を見て、導き出したんです。つまり勝てないと思いこんでいた時点で負けでした」 刺した剣を抜くとカイザーは徐々に消滅していく。 龍牙は亘の目の前にたった。 龍牙 「ギルドの人間である以上、生死は常に一番大事です。ましてや誰かのために生きなければならないなら。一之瀬さん、あなたはギルドの人間として失格です。」 亘 「・・・そうだな。まだ一日目の新入りにここまで言われちゃダメだな」 龍牙は腰のポケットから包帯を取りだし亘の右手に巻いていく。 亘 「何の真似だ?」
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