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私と西森は、会場の外にあるソファーに並んで腰を下ろした。
しばし沈黙。
空気が……重い。
「なに?」
それに耐えきれず口火を切ったのは私。
西森はそう聞かれ、重い口を開いた。
「中学の卒業式の後……俺1回電話したじゃん」
そうだったかも知れない。
「会いたいって……言ったのに。拒否ったでしょ?」
普通拒否るでしょ……あの流れは。
「8年も前の事、今更って思うかもしれないけど……俺、自信あったのに」
自信?
あなたがモテるかどうかの確認を8年越しでしたいってわけ?
バカにしないで!
「自信って何よ?罰ゲームで突然キスされた私の身にもなってよ!」
私はソファーから立ち上がった。
今度は後ろから左肩を掴まれた。
「離して!」
手を外そうと振り返った勢いを利用され 西森の左手が私の体を丁度良く回し、自分の前に引き寄せた。
次の瞬間、右手の親指が顎を引き上げ……私はまた無抵抗のまま彼に唇を奪われていた。
やっぱり目を閉じる時間は……なかった。
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